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●ジャンル:サスペンス・ミステリー
●上映時間:102分
●配給:2007クロックワークス
●スタッフ&キャスト: [監督][脚本]内田けんじ
[製作]酒匂暢彦ほか
[撮影]柴崎幸三
[音楽]羽岡佳
[主題歌]monobright
[出演]大泉洋 佐々木蔵之介 堺雅人 常盤貴子 田畑智子 北見敏之 山本圭 伊武雅刀
[c]2008「アフタースクール」製作委員会
デビュー作「運命じゃない人」で注目された内田けんじ監督の最新作。大泉洋ら個性派俳優の共演により、怪事件に直面した元同級生3人組の微妙な関係を、緻密な構成で描く。
中学教師の神野は元同級生の私立探偵に協力し、失踪した親友の木村を探すことになる。調査が進むうちにまじめなはずの木村の意外な一面を知り、神野は驚きを隠せない。しかし、その先にはさらに衝撃の事実があった。

僕が映画の仕事を始めてから一番影響を受けた日本映画は『運命じゃない人』だ。この作品は、全くの無名監督が撮った低予算映画だったが、極めて緻密に練りこまれた脚本とユーモア溢れる演出で恐ろしいほどの良作に仕上がっていた。この『運命じゃない人』、出来が素晴らしいが作品の規模的にも一般に知られてなさ過ぎる事実を踏まえ、僕はシネマスクランブルを超えて、個人的に同作品のPR活動に協力するにいたった。その後、『運命じゃない人』はその質の高さから、いきなりカンヌ映画祭に出品されるにいたり、いくつかの賞を見事受賞し、劇場興行的にも輝かしい結果を残したのは、知る人ぞ知る事実である。この作品の脚本を執筆し、メガホンをとったのが、日本映画界最強の新星、内田けんじ監督。僕が知る限り、日本映画界において彼を上回る才能は、ここ10年は出てきていない。個人的に待ちに待った内田けんじ監督の新作を紹介できることを実に嬉しく思う。
『アフタースクール』という名の新作は、脚本に対して強いこだわりをもっている内田けんじ監督が何年も練りに練り直した、ドンデン返し型人情エンターテイメントである。母校に勤める中学校教師の神野は、突如現れた中学の同級生の島崎と名乗る男に、神野の親友で同じく中学の同級生の木村を一緒に探してほしいと依頼される。わけもわからないままに、木村探しを手伝うハメになった神野は、島崎と共に木村の行方を追ううちに、彼自身も全く知らなかった木村の素性を知っていくことになるのだが…といった、謎が謎を呼ぶ、実によくできたミステリーという位置づけだ。
ただし、一筋縄ではいかないのが内田けんじ流エンターテイメント。前述した脚本力がまず桁違い。あらゆる物事に伏線が張り巡らされ、全くもって無駄がない。どのシーンを観ても、どの行動にも意味があるので、本作を観る人は、必ず集中してディテールまで気をつけて観ておくことをオススメする。まさか、あの時の何気ないあの行動がこんな結果に繋がっていたなんてという驚きに、もう一度観たくなることは間違いないだろう。もちろんディテールうんぬんではなく、衝撃的な脚本展開力にも度肝を抜かれることは必至。見方を変えると全てが変わるという見事なトリックに改めて映画は脚本で成り立っているという単純でいて非常に重要な事実を思い知らされるだろう。
また、内田けんじ作品の特徴は、人情描写。その脚本展開から非常にギミックに凝った作りとなっているため、構成の妙が目に付くことはあるだろうが、彼の本質は人間を見つめる温かくユーモアに満ちた視線にある。彼はクエンティン・タランティーノ的と評されることもあるが、むしろ山田洋次的ではなかろうか。彼の作品でおなじみの“純朴でいい人”とその周りで起こる、面白おかしい出来事の間で擦れて滲み出る人情には、内田けんじ一流の味がある。本作では、その脚本の妙から誰がいい人なのかさえもなかなか見えてこない見事さがあるが、それが次第に明らかになったとき、彼の描く人情にも注目してもらいたい。
最後に、付け加えるならば、内田けんじ監督作品ではいつも魅力的なセリフがある。例えば『運命じゃない人』では、「電話番号をなめんなよ!11桁の数字を知っているかいないかで、知り合いと赤の他人が分けられているんだ!」というユーモアに満ち、核心を突いたセリフに唸らされた。どんな言葉が飛び出すのかという期待を胸に観た本作『アフタースクール』でも、やはり僕の心に残るセリフがあった。それは、ある人物が映画の終盤で語る「お前がつまらないのは、お前のせいだ」という言葉。このセリフに痺れた人は四の五の言わずに劇場に足を運んでください。中井の名にかけて後悔はさせません。

