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『ハチミツとクローバー』

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作品情報

●ジャンル:青春ドラマ

●上映時間:116分

●配給:2006アスミック・エース

●監督: [監督][脚本]高田雅博
[原作]羽海野チカ
[音楽]菅野よう子
[主題歌]スピッツ
[出演]櫻井翔 蒼井優 伊勢谷友介 加瀬亮 関めぐみ 堀部圭亮 宮崎吐夢 銀粉蝶 中村獅童 西田尚美 堺雅人

●製作:高田雅博  

●出演:櫻井翔 蒼井優 伊勢谷友介

オフィシャルサイト

[c]2006「ハチミツとクローバー」フィルムパートナーズ  

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人が恋に落ちる瞬間を初めて見てしまった

この日のこと、ここから始まった全てのことを決して忘れないだろう…

人気グループ、嵐の櫻井翔や、話題作への出演が続いている俳優の伊勢谷友介、女優の蒼井優らが切ない片思いを熱演。人気少女マンガが原作の、甘く切ないラブ・ストーリー。

美大に通う竹本は、研究室でひとりの少女に出会う。はぐと呼ばれている彼女は、華奢な体に似合わずダイナミックな絵を描く、不思議な魅力をもった天才少女。はぐを見た竹本は、ひと目で彼女への恋に落ちてしまう。



人気マンガの実写化において、『NANA』ほどの話題性はないにしろ、若い女性たちの間で今もっとも話題になっている人気少女マンガの実写化が『ハチミツとクローバー』である。美大を舞台に、全員が片想いの不器用な恋模様を描いた青春群像劇。映画では、大筋の流れは変えずに、原作よりも少しラブストーリー色が強くなっている。

通称“ハチクロ”と親しまれ、月刊誌「コーラス」で好評連載中の本作は、アニメ版も深夜枠にも関わらず高視聴率を得た。当然の流れのように映画化は決定し、複雑な心境を抱えながらも公開を待ち望むファンがたくさんいる作品だ。しかし、少女マンガの世界は、断じて夢見がちでなくてはならない。読者が期待する部分もきっとそこであり、実写化でもっとも批判を浴びやすい分野でもある。ハチクロも然り。原作ファンの間では、キャスティングに対する批判が飛び交っている。

最も多いのは、2人の男性から好意を寄せられるヒロイン・花本はぐみを演じる蒼井優について。はぐみは、秀でた芸術の才能を持ち、ふわんとした雰囲気と小さな身長が印象的な天才肌の女の子。原作ファンたちの間では、「蒼井優は身長が高すぎる!」とのご意見多数。しかし、これだけは言っておきたい。「スクリーンに写った蒼井優は、とても小さく見えたんです!!」と。そして、あり得ないほどの不思議系ピュア少女を見事に体現していた。子供のような仕草やぽわんっとした気の抜けた表情も、顔をくしゃくしゃにした笑顔も、作画中の近寄りがたいほど凛々しい雰囲気も、きっと今の日本の若手女優で、これほどまでにはぐみを自然体で演じられる女優はいないのではないだろうか。蒼井優は、身長云々を軽く超える、独特の雰囲気と存在感をスクリーンいっぱいに漂わせ、はぐみの無垢な魅力を際立たせていた。

その他のキャストに関しても賛否両論だが、個人的には、配役のセンスがとても良いと思う。嵐の中でもソロ主演初となる櫻井翔を起用するあたりや、伊勢谷友介、加瀬亮、関めぐみと、映画をあまり観ない人たちにとってはかなり地味なキャスティングだが、それぞれがとてもハマリ役という印象を受けた。

されどマンガ原作である。どう転んでも、実写で描くには限界がある。だからこそどんなに映像技術が発達してもマンガというアナログ分野の魅力は尽きないのだが、この作品は映画への転換がとても良くできている。映像ならではのイマジネーションの具現化や感情の機微の描き方が上手い。そして、マンガの夢見心地な世界観を保ちつつ、片想いの切なさや、大学生というモラトリアム時代の、ただ甘酸っぱいだけじゃないちょっぴり大人の青春をキラキラと描いている。観終わった時には、なんだか宝物のようにそっと心に留めて置きたい映画だなぁと思った。

執筆:吉村未来

人気マンガの実写化において、『NANA』ほどの話題性はないにしろ、若い女性たちの間で今もっとも話題になっている人気少女マンガの実写化が『ハチミツとクローバー』である。美大を舞台に、全員が片想いの不器用な恋模様を描いた青春群像劇。映画では、大筋の流れは変えずに、原作よりも少しラブストーリー色が強くなっている。

通称“ハチクロ”と親しまれ、月刊誌「コーラス」で好評連載中の本作は、アニメ版も深夜枠にも関わらず高視聴率を得た。当然の流れのように映画化は決定し、複雑な心境を抱えながらも公開を待ち望むファンがたくさんいる作品だ。しかし、少女マンガの世界は、断じて夢見がちでなくてはならない。読者が期待する部分もきっとそこであり、実写化でもっとも批判を浴びやすい分野でもある。ハチクロも然り。原作ファンの間では、キャスティングに対する批判が飛び交っている。

最も多いのは、2人の男性から好意を寄せられるヒロイン・花本はぐみを演じる蒼井優について。はぐみは、秀でた芸術の才能を持ち、ふわんとした雰囲気と小さな身長が印象的な天才肌の女の子。原作ファンたちの間では、「蒼井優は身長が高すぎる!」とのご意見多数。しかし、これだけは言っておきたい。「スクリーンに写った蒼井優は、とても小さく見えたんです!!」と。そして、あり得ないほどの不思議系ピュア少女を見事に体現していた。子供のような仕草やぽわんっとした気の抜けた表情も、顔をくしゃくしゃにした笑顔も、作画中の近寄りがたいほど凛々しい雰囲気も、きっと今の日本の若手女優で、これほどまでにはぐみを自然体で演じられる女優はいないのではないだろうか。蒼井優は、身長云々を軽く超える、独特の雰囲気と存在感をスクリーンいっぱいに漂わせ、はぐみの無垢な魅力を際立たせていた。

その他のキャストに関しても賛否両論だが、個人的には、配役のセンスがとても良いと思う。嵐の中でもソロ主演初となる櫻井翔を起用するあたりや、伊勢谷友介、加瀬亮、関めぐみと、映画をあまり観ない人たちにとってはかなり地味なキャスティングだが、それぞれがとてもハマリ役という印象を受けた。

されどマンガ原作である。どう転んでも、実写で描くには限界がある。だからこそどんなに映像技術が発達してもマンガというアナログ分野の魅力は尽きないのだが、この作品は映画への転換がとても良くできている。映像ならではのイマジネーションの具現化や感情の機微の描き方が上手い。そして、マンガの夢見心地な世界観を保ちつつ、片想いの切なさや、大学生というモラトリアム時代の、ただ甘酸っぱいだけじゃないちょっぴり大人の青春をキラキラと描いている。観終わった時には、なんだか宝物のようにそっと心に留めて置きたい映画だなぁと思った。執筆:吉村 未来
コミック原作の映画化は最近の邦画作品のトレンドだ。その流れの先駆けであり代表格といえば、間違いなく矢沢あい原作の『NANA』だろう。大人気少女コミックを実写で映画化した『NANA』は、コミックの映画化においての最重要ポイントであるキャスティングに理想的な形で成功したのが特徴的だ。主人公ナナもハチも原作ファンの想像通りだったことが大ヒットの決め手なのは疑いない。

そんな『NANA』と並ぶ大ヒットコミックとして、映画化決定から多くの期待を背負っているのが、『ハチミツとクローバー』だ。通称“ハチクロ”と呼ばれる本作のテーマは、恋愛。美大生5人の恋の物語を描いている。しかも、この作品の恋愛は、全員片想い。映画ではドラマチックな物語が描かれることが多いが、ドラマチックがゆえに実体がなく、自分には関係のないものとしてどこか客観的に観てしまう。しかし片想いはほとんどの人が経験したことがあるだろう。それゆえに、どこを切っても片想いのこの物語は、強い共感をもって受け止められる。

本作の最大の強みは、『NANA』同様、理想的なキャスティングを組めたことだ。“はぐ”こと花本はぐみを演じたのは、蒼井優。若手女優の中でも今、一番勢いがある宮崎あおいと並び評される彼女が演じた“はぐ”は、そのルックスも原作のイメージに極めて近いが、それ以上に、彼女の独特な存在感が、繊細で無垢でいて底のないスケール感をみせる“はぐ”そのものだ。一心不乱に大きなキャンパスに向かいイメージを具現化する“はぐ”としての彼女を一度見たら、“はぐ”を演じられる女優は他にいないと思うに違いない。また、櫻井翔が演じた、“はぐ”に恋する竹本も、彼自身にどこか残る純朴さが原作のイメージにぴったりはまる。実は、一番キャスティングが難しい役どころだが、ここを間違えなかった。そして、もうひとり“はぐ”に恋する天才美大生、森田を伊勢谷友介が演じているが、元々、東京芸大卒でアーティストとしても活躍している伊勢谷友介だけに、役どころがさまになるのは必然だろう。もうひとつの片想いの元となる真山には、加瀬亮が、その真山に叶わぬ恋をしている山田あゆみには、関めぐみが配役されている。原作でも密かにファンの多い真山と山田の恋愛にも全く手を抜いていないことが、このキャスティングでも伝わる。クールではあるが優柔不断な真山とこの役を演じる加瀬亮は、ほぼ同一人物だ。そして、当初の本人の希望とは別にどんどん女優としての道を進む関めぐみは、潜在能力を発揮し、この山田という役を等身大のものとして受け止め、表現している。女の子の片想いほど、見ていて切ないものはない。本作では、彼女の立ち振る舞いが一番切なく感じている。

これら理想的なキャスト陣が、原作の世界観を明確に踏襲しながらも、映画版としてオリジナルな展開を見せる本作は、原作ファン、原作を知らない人の両方に、作品の持つ“青春”をしっかり感じさせる。そして、切なくとも恋がしたいと思うのだ。執筆:中井 圭
 

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